(里帰りしてたミックを、槇ちゃん、僚ちゃん、香ちゃんで迎えに行きました)





驚いた顔が本当に本当に可愛くて、1回だけじゃ物足りなかったんだ。



よろしく、と言い合ったのはもう3年も前になるか。二十歳過ぎたら早いっていうけど、なんのその、十代後半も怖いくらいのスピードだよ。
例えば、赤ん坊の成長は実に著しい。少し見ない内にどんどん人間らしくなるから驚きだ。それと同じくらいの衝撃を3つ年下の彼女から与えられるとは思いもよらなかった。本当のところ。


「おかえりなさい!久しぶりのアメリカはどうだった?」


離れていたのはたった数ヶ月だというのに、そう言って笑う彼女は確実に大人の女へと歩み始めていて。
何だか寂しくなったんだ。


「ただいまカオリ。君がいる国こそ僕の国だと思い知ったよ」
(初めまして、カオリ?僕はミックっていうんだ。会えて嬉しいよ)


一瞬、思い出が甦る。
たまらず触れた、記憶よりもずっと柔らかな頬の感触。


「…!…!…!」
「っ!てっめミック!何しやがる!!」
「…それ以上は許さないからな。早く離れてくれ」


悪友たちの妨害が入り、しぶしぶ1歩離れると。


(その顔が見たかったんだ)


大きな目を真ん丸く開いた表情は、昔のままだった。


(可愛い可愛いカオリ。大好きだよ。)


驚いた拍子に掴んだのは男の腕に、未だしがみついたままの彼女。
兄の腕ではなく僚の腕を選んだ意味に、まだ気づいていないんだろう当事者の2人は。


(ああ悔しいな。)


「ごめんごめん。ついあっちの癖が出ちゃったよ」
「そ、そうなの?里帰り効果ね」
「挨拶にしてはタイミングがおかしいだろ」
「いい事言った槇ちゃん!近寄るな!2メートル離れてろ!」
「心配しなくてもお前にゃキスしないって」
「当たり前だ気色わりぃ!」






『欧米か!』

 

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